WHSの導入で躓きやすい一番のポイントはルーターの設定でしょう。
UPnPで自動構成出来るようにWHSは作られていますが、国内のルーターは自動構成がうまく機能しないルーターの方が多いようです。
うまく機能するルーターでは、WHSのリモートアクセス設定画面([図1])でセットアップをクリックすると、WHSが自動的にUPnPパケットを送信し、ポート開放を実施します。成功すると、ルーター構成の詳細画面([図2])の5つの項目が全て緑のチェックマークになります。
・[図1]WHSのリモートアクセス設定画面
・[図2]ルーター構成の詳細画面
セットアップを実施しても、ルーター構成の詳細画面にチェックが全てつかない場合には、手動でルーターを構成することになります。
手動設定する内容
- WHSのIPアドレスをスタティックに割当
ルーターのDHCP機能で、スタティック(静的または固定割当)が出来る機種は、ルーター上で設定。それ以外は、WHSのネットワーク設定のTCP/IPのプロパティを開き以下のように設定。
・IPアドレス
ルーターと同一サブネット内のアドレスを重複ないよう指定
たとえばルーターのLAN側アドレスが192.168.0.1/24の場合 192.168.0.10などを指定。
(ルーターでDHCPがONの場合はDHCPで予約している範囲外のアドレスを指定すること)
・サブネットマスク
ルーターのLAN側アドレスのサブネットと同じ値を指定
通常初期設定は 255.255.255.0(上記の/24と同じ意味) でサブネットを切っている機種が多い
・デフォルトゲートウェイ
ルーターのLAN側アドレスを指定
・DNSサーバー
ルーターのLAN側アドレスを指定 - ルーター上でポートフォワーディング設定
WAN側から到達するパケットのうち、
- TCP 80(HTTP)
- TCP 443(SSL)
- TCP 4125(RDPプロキシ)
の各ポートへのパケットを LAN側のWHSのアドレスを宛先アドレスとして転送するように設定
3. ルーター上のパケットフィルタ設定(通常は 2 を実施すると不要)
2で指定したWHSのアドレスへのTCPパケット(80/443/4125)を許可するように設定
【設定例】
フィルタ種別 : 通過
送信元IPアドレス: *
宛先IPアドレス : 192.168.0.10(WHSのアドレス)
プロトコル種別 : TCP
送信元ポート : 80 (443,4125も設定)
宛先ポート :80(443,4125も設定)
方向 : 順方向
つながらない場合の切り分け手順
- LAN内のパソコンから WHSのアドレスに対してPingが通るか
コマンドプロンプトで
ping 192.168.0.10(WHSのアドレス)
と入力し、パケットが帰ってくるか確認
NGの場合 → WHSがルーターのLANポートに接続されているか確認
WHSのIPアドレス・サブネットマスクを確認 - WHSからルーターのLAN側アドレスに対してPingが通るか
WHSにリモートアクセスでログオンし、コマンドプロンプトで ping 192.168.0.1(ルーターのLAN側)
と入力し、パケットが帰ってくるか確認
NGの場合 → WHSがルーターのLANポートに接続されているか確認
WHSのIPアドレス・サブネットマスクを確認 - LAN内のパソコンから http://xxx.homeserver.com の名前解決を確認
コマンドプロンプトで
nslookup xxx.homeserver.com
と入力し、結果として帰ってきたアドレスがルーターのWAN側アドレスと一致するか
※ルーターのWAN側アドレスはルーターにログオンし設定用Web画面から確認
NGの場合 → WHSのリモートアクセス設定画面のドメイン名
名前:https://xxx.homeserver.com
になっているか確認 - LAN外のパソコンや携帯から https://xxx.homeserver.com にアクセス出来るか
NGの場合 → ルーターのポートフォワーディング設定が正しく行われているか確認
以上が主な手順です。ルーターの配下にルーターを配置しているような場合(たとえば、回線事業者からレンタルしたルーターとは別に無線LAN親機として無線LANルーターを配置している場合)、WANに一番近いルーターをデフォルトゲートウェイとし、配下のルーターはルーター機能をOFFにするか、DHCP機能をOFFにすること。
また、上記のポートフォワーディング設定は全てWAN側に近いルーターに対して実施すること。