記憶域スペース

このページは、記憶域スペース(Storage Spaces)を対象にしています。
記憶域スペースダイレクト(Storage Spaces Direct)については、こちらを参照して下さい。

記憶域スペースの概要

回復性を備えた記憶域

記憶域スペースでは、それぞれ異なる特徴を持った3つのレイアウトが利用できます。

特徴
ミラー 1つのデータを2つあるいは3つに複製し、それぞれ異なる物理ディスクに保存することで物理ディスク障害に対する信頼性を高めることができます。
パリティ データを複数のストライプに分割し、各ストライプとパリティと呼ばれる冗長コードをそれぞれ異なる物理ディスクに書き込むことで、物理ディスク障害に対する信頼性を高めることができます。物理ディスク障害時にはパリティと残されたストライプから、失われた情報を復元することができます。
シンプル
(回復性なし)
データを複数の物理ディスクに分割して書き込むことでディスクI/Oスループットが高まり、利用できる容量も最大化できます。データの複製やパリティを通じた冗長化は行わないため、物理ディスク障害が発生した場合はすべてのデータが失われます。

継続的可用性

記憶域スペースは、フェールオーバー クラスタリングと完全に統合され、単一のクラスター内の複数のノード(サーバー)にわたって1つまたは複数の記憶域プールをクラスター化することができます。これによりクラスターを構成するノードに障害が発生した場合にも、継続的なサービス展開が可能となります。記憶域スペースを個々のノードでインスタンス化することにより、記憶域は必要なときに (エラー条件になったとき、または負荷分散により) 異なるノードにシームレスにフェールオーバーします。また、クラスターの共有記憶域(CSV)との統合により、物理ディスクの追加やノードの追加が発生した場合でも単一名前空間を維持することが可能となり、データへのスケールアウト アクセスが可能になります。

容易な管理

記憶域スペースは、サーバー マネージャーのファイル サービスおよび記憶域サービスの役割を使用して簡単に管理できます。

Windows Storage Management API、WMI、および Windows PowerShell により、管理の完全なリモート操作とスクリプト化が可能になりました。記憶域プールの利用可能な容量が構成可能な閾値に到達した場合に、記憶域スペースからの通知を表示することもできます。

ハードウェアの互換性 ー専用ハードウェア要らず

今日、ハードウェア メーカーが幅広い記憶域デバイスを製造しており、管理者が展開する記憶域デバイスも必然的に幅広いものとなっています。記憶域スペースは、このような幅広いデバイスと連携することができるため、標準の市販ハードウェアでの展開が可能となっています。記憶域スペースは USB、SATAまたはSASインターフェイスで接続され、Windowsで動作するあらゆる物理ディスクを利用することができ、異なるストレージ容量のドライブの混在もサポートします。

また、もし物理ディスクが何らかのカスタムエンクロージャーを経由して接続されていて、当該のエンクロージャーがSCSI Enclosure Serviceプロトコル(SES)をサポートしている場合、記憶域スペースはSESを利用してエンクロージャーのどの物理スロットにドライブが接続されているかを把握することができます。

記憶域スペースが利用できるOS

記憶域スペースは、以下のOSで利用できます。

クライアントOS サーバーOS
対応OS Windows 8
Windows 8.1
Windows 10
Windows Server 2012
Windows Server 2012 R2
Windows Server 2016
Windows Server 2019

OSによる利用できる機能の差異(作成中)

クライアントOS サーバーOS
8 8.1 10※1 2012 2012R2 2016 2019
対応
メディア
HDD
SSD
NVMe
回復性の
タイプ
シンプル
ミラー(双方向)
ミラー(3方向)
パリティ
デュアル
パリティ
△※2 △※2
記憶域階層 同一の回復性を備えた階層のサポート △※3 △※3
異なる回復性を備えた階層のサポート※4 × × ×
ライトバックキャッシュ
「クラスターの共有ボリューム(CSV)」での記憶域スペースの利用
  1. Windows 10は最新のバージョンでの動作です
  2. クライアントOS(Windows 8.1以降)でデュアルパリティの仮想ディスクを作成するには、PowerShellを用いる必要があります
  3. クライアントOS(Windows 8.1以降)で記憶域階層を作成するには、Powershellを用いる必要があります
  4. 異なる回復性を備えた階層をサポートすることで、Mirror accelerated Parityなど、さらに高いパフォーマンスと大容量、高いディスク利用効率を兼ね備える仮想ディスクの構築が可能になります

クラスターの共有ボリューム(CSV)で利用できる機能(作成中)

サーバーOSでは、クラスターの共有ボリューム(CSV)に記憶域スペースで作成した仮想ディスクを利用することができます。

サーバーOS
2012 2012 R2 2016 2019
回復性の
種類
シンプル
ミラー 双方向
3方向
パリティ シングル
デュアル ×
ファイル
システム
NTFS
ReFS ×

OSにより利用できる管理ツール

クライアントOS、サーバーOSそれぞれ、利用できる管理ツールは以下の通りです。

クライアントOS サーバーOS
~2012 R2 2016 2019
コントロールパネル
サーバーマネージャー
SCVMM
(System Center Virtual Machine Manager)
Windows Ademin Center
PowerShell

ハードウェア要件

記憶域スペース/記憶域スペースダイレクトを利用するには、ディスクがOSに対して直接認識される必要があります。

物理ディスクは、SATA/SAS/USB接続のディスクを利用することができます。

USB接続の場合、USB 3.0以降が推奨されています。

対応ハードウェア

SATA/SASなどの直接接続された物理ディスクだけでなくHBAやエンクロージャーを利用する場合、エンタープライズ環境で利用する場合、記憶域スペースダイレクトを利用する場合は、Windows ロゴ認定を取得した対応ハードウェアの利用を推奨します。

対応ハードウェアは以下から確認できます。

【参考】記憶域スペースで利用出来るハードウェア

プールを構成する物理ディスクの、OS/ハードウェア間の移動

記憶域スペースの構成情報は、物理ディスクの中に保存されています。そのため、記憶域スペースに対応した異なるOS環境やハードウェアに記憶域プールを構成するHDDを接続しても、プールや仮想ディスクにアクセスすることができます。

【参考】[FAQ:WSE]OS再インストール時/HDD移動時の記憶域スペースの取扱い

記憶域プールにはバージョンがあります。新しいOSでは過去のバージョンのプールにもアクセスできますが、バージョンに対応しない古いOSでは認識できません。

記憶域スペースを利用する上で重要なアーキテクチャーの理解

記憶域プールと記憶域スペース(仮想ディスク)

記憶域プール Storage Pool 複数の物理ディスクを1つの物理ディスクであるかのように扱える、複数の物理ディスクを束ねた集合。
仮想ディスク Virtual Disk
(Storage Space)
記憶域プール上に作成する、仮想ディスク。作成した仮想ディスクは、ボリュームとしてOSから認識される。
仮想ディスクは、回復性を選択して作成することができる。
Microsoftはこの仮想ディスクのことを、記憶域スペース(Storage Space)という場合と、機能の総称を指している場合(Storage Spaces)があるため、以降は仮想ディスクと呼ぶ。

仮想ディスクのプロビジョニングの種類

シン・プロビジョニング Thin provisioning 記憶域プールの領域を確保せず、仮想ディスクを作成すること。

記憶域プールの空き容量(物理ディスクサイズの合計-使用済領域)に縛られることなく、仮想ディスクを作成することができる。

仮想ディスク作成後に、必要に応じて仮想ディスクのサイズをより大きくあとから変更することも可能。

固定プロビジョニング Fixed provisioning 記憶域プールの容量を確保して仮想ディスクを作成すること。

固定プロビジョニングでは、記憶域プールの空き容量(物理ディスクサイズの合計-使用済領域)内でしか仮想ディスクを作成できない。

回復性の種類

シンプル(回復性なし) データの冗長性はありません。1つのデータを記憶域プール内の物理ディスクに、「列の数」で指定された台数の物理ディスクに分割して保存(ストライピング)します。

ストライピングを通じて書き込み性能の向上が見込めますが、データの冗長性がないことから、1台でも物理ディスクに障害が発生するとすべてのデータが失われます。

一方で、プールに接続されている物理ディスクの容量を最大限利用することができます。消えても問題のないデータの一時的な保存以外に、データシンプルを利用することは推奨されません。

ミラー 双方向ミラー 1つのデータを2つにコピーし、記憶域プール内の異なる物理ディスクに保存します。1つのデータは記憶域プール内の、「列の数」で指定された台数の物理ディスクに分割して保存(ストライピング)することから、書き込み性能の向上が見込めます。

データが2つに複製されて異なる物理ディスクに保存されているため、プール内のいずれか1台の物理ディスクに障害が発生しても、データを消失することはありません。1つのデータを2つ保存することから、プールに接続されている物理ディスクの容量は最大1/2しか利用することができません。

3方向ミラー 3方向ミラーを選択すると、1つのデータを3つにコピーし、記憶域プール内の異なる物理ディスクに保存します。1つのデータは記憶域プール内の、「列の数」で指定された台数の物理ディスクに分割して保存(ストライピング)することから、書き込み性能の向上が見込めます。

データが3つに複製されて異なる物理ディスクに保存されているため、プール内のいずれか2台までの物理ディスクに障害が発生しても、データを消失することはありません。

1つのデータを3つ保存することから、プールに接続されている物理ディスクの容量は最大1/3しか利用することができません。

パリティ シングル
パリティ
パリティを選択すると、1つのデータは記憶域プール内の物理ディスクに分割して保存(ストライピング)されます。

分割したストライプからパリティ情報を演算して、ストライプとは別の物理ディスクに保存することから、データはプールに接続されている(物理ディスクー1)台のストライプに分割されます。

分割されたデータからパリティ情報を演算して保持しているため、プール内の物理ディスクの1台に障害が発生しても、データを消失することはありません。

データを物理ディスクに書き込む都度、プール内のディスクの1台にパリティ情報を保存することから、プールに接続されている物理ディスクの容量は最大(プールのHDD数ー1)/プールのHDD数しか利用することができません。

パリティでは、データの書き込み、更新の都度パリティ情報の演算処理が行われるため、IOPSは低くなります。

デュアル
パリティ

記憶域階層

記憶域階層 Tierd Storage 高速な物理ディスク(SSDやNVMe)と高速ではない物理ディスク(HDD)を用いて、SSDとHDDの良いとこどりをする技術。

よく利用するファイルはSSDに保存することにより実利用上のスループットを高めつつ、頻度の低いファイルは安価かつ大容量なHDDに保存することでディスク容量も確保できる。

列の数(Number of Columns)

仮想ディスクにデータを保存する際に、1つのデータを記憶域プールに属する複数の物理ディスクに分割して保存することができます。この分割する数を「列の数(Number of Columns)」を呼びます。

列の数が増えるほど、データを複数の物理ディスクにストライプするため、IO性能の向上が期待できます。

詳細は、記憶域スペースに関する理解を深める(列数とディスク使用の関係)参照してください。

 

クォーラム

インターリーブ

共有SAS(Shared SAS)

記憶域プール/仮想ディスク/物理ディスクの障害時の対応

記憶域プール/仮想ディスク/物理ディスクに障害が発生した場合、コントロールパネルやサーバーマネージャーに通知されます。

物理ディスク障害による障害の場合、交換用の物理ディスクを新たにプールに参加させ、障害の発生した物理ディスクをプールから削除するのが定石となります。

【参考】記憶域スペースで利用出来るハードウェア

物理ディスクの障害時や物理ディスクの使用量超過時などには、プールのデータの損失を防ぐため、仮想ディスクやプールをオフラインにします。

【参考】記憶域プールのディスク容量に対するアラームの閾値を変更する

過去のブログ

Windows Home Server 座談会スライド

Microsoft 公式ドキュメント等

参考記事

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