Windows Server Essentialsでは、クライアントPCに対してクライアントコネクターをインストールして利用することになります。
クライアントコネクターインストール時には、コネクター自体のインストールに加え、
- VPNプロファイルの作成(サーバーでVPNが構成されている場合)
- コンピューターへのドメインの参加
- コンピューターにログインするドメインユーザーアカウントの指定と、再起動後に指定したドメインアカウントのユーザープロファイルの作成
- 作成したドメインアカウントへの初回ログオン時に、従来ログオンしていたローカルアカウントからドメインアカウントに、ユーザープロファイル移行ウィザードの実行(Windows 7以前のクライアントの場合)
が自動で行われます。
Windows 8以降のクライアントはプロファイルの移行ができない
Windows 7までのクライアントには用意されたいたユーザープロファイル移行ウィザードは、Windows 8移行のクライアントには対応していません。
おそらく、Windows 8移行ではストアアプリのデータ移行など新たに考慮する必要があるためと思われます。
Windows 10にも対応する3rd パーティーのツールを利用してプロファイルを移行する
ローカルアカウントとドメインユーザーアカウント間のプロファイル移行に対応したフリーソフト User Profile Wizardを利用すると、マイドキュメントやデスクトップなどのユーザーフォルダー内のデータ、アプリケーションの設定などのデータを移行することができます。
- User Profile Wizardをダウンロードしてインストールします。
- インストールしたProfwizを実行します。
- User Profile Wizardが起動します。
- 移行元のローカルアカウントを選択します。
移行後に対象のアカウントを削除したり、無効にするオプションも用意されていますので、必要に応じてチェックボックスを付け、[次へ]を押下します。 - 移行先のドメインアカウントのドメインと、アカウントのユーザー名を入力します。
ローカルアカウントに対してコピーする場合は、ドメイン名ではなくコンピューター名を入力します。
- 移行プロセスが実行されます。
- 再起動後、ストアアプリの構成が行われます。
- 完了後、移行先のアカウントでログオンすると、移行元のアカウントのユーザープロファイルが全て移行されています。
従来ワークグループで運用していた環境へのActive Directory導入のハードルは小さい
Windows Server Essentilas ではサーバーでActive Directoryを構成し、ドメイン運用を行うことが必須となります。
クライアントPCは、コネクターインストール前にレジストリを設定しておくと、ドメインへの参加をスキップしてローカルアカウントでの運用を継続することができます。
参考:[FAQ:WSE]Windows Server 2012 Essentials にクライアントを接続する際に、ドメインに参加させずに接続する方法/ワークグループ運用
しかし、この場合ADによる認証のメリットを享受することはできません。
Windows 8以降、ワークグループ環境にActive Directoryを導入する場合、このユーザープロファイルのデータ移行問題は設定のやり直しを利用者に強いることとなり、1つのハードルになっていました。
このフリーソフトを利用して、新しく作成したドメインユーザーにもユーザープロファイルの移行ができると、ワークグループ環境へのAD導入のハードルは大きく下がります。
ADによる認証の統合は、Azure ADとの連携へも容易にステップアップが可能に
ローカル環境でActive Directoryが動作し認証がADに統一されることで、オンプレミス環境における認証・認可のシンプル/高度化が可能になります。
加えて、オンプレミスにADが動作していることで、Azure ADとの連携も可能になり、オンプレミスとクラウド上のSaaSを柔軟に使い分け、さらに「リソースの所在場所」「ユーザーの存在ロケーション」ともに社内と社外を意識しないワークスタイルの実現が容易になります。
ADをまだ導入してない中小規模の環境は多数あると思いますが、自前でシステムを作らず、クラウドを柔軟に活用する中小規模の環境こそADを導入する検討する価値があると思います。