記憶域スペースでは、物理HDDに障害が起こった際に備えて、物理HDDをホットスペアとして待機させるよう構成することが出来ます。物理HDDに障害が発生した場合に、待機させていたホットスペアのHDDを利用して、自動的に記憶域プールを修復することが出来ます。
ホットスペアを指定する方法
記憶域プールの作成時
物理HDDをホットスペアとして指定する場合、以下の手順で実施します。
- サーバーマネージャー>ファイルと記憶域サービス>記憶域プール を開きます。
- [記憶域プール]ペインの[タスク]を押下し、[記憶域プールの新規作成]を押下します。
- [記憶域プールの物理ディスクを選択]ページで、ホットスペアに指定したいHDDを選択し、[割り当て]カラムでホットスペアを[選択]します。
既にある記憶域プールに物理ディスクを追加する時
- サーバーマネージャー>ファイルと記憶域サービス>記憶域プール を開きます。
- [記憶域プール]ペインで、物理HDDを追加する記憶域プールを選択し、[物理ディスク]ペインの[タスク]を押下し、[物理ディスクの追加]を押下します。
- [記憶域プールの物理ディスクを選択]ページで、ホットスペアに指定したいHDDを選択し、[割り当て]カラムでホットスペアを[選択]します。
PowerShellのcmdletを利用して指定する方法
フレンドリー名”記憶域プール”の記憶域プールに対して、フレンドリー名”physicalDisk1”の物理HDDをホットスペアとして追加する場合は、以下のcmdletを実行します。
Add-PhysicalDisk -StoragePoolFriendlyName "記憶域プール" -PhysicalDisks (Get-PhysicalDisk -FriendlyName PhysicalDisk1) -Usage HotSpare
記憶域スペースによるディスクの正常性の監視
書込みエラー
記憶域プール内のあるディスクに対して書き込みを失敗した場合、記憶域スペースは以下のアクションを実行します。
- 対象のディスクを 障害が発生したディスクとしてマークする
- SCSIエンクロージャーサービスをサポートするJBOD内のディスクの場合、対象のディスクの障害を示すLEDを点灯する。
- 記憶域プールにホットスペアが存在する場合、障害が発生したディスクをホットスペアと入れ替え、書込み操作をリトライします。
読取りエラー
記憶域プール内のあるディスクからの読込みを失敗した場合、記憶域スペースは以下のアクションを実行します。
- ミラーまたはパリティの場合、他のディスクからデータのコピーを読取り、成功した場合は読込みエラーは解消されます。
- 読取りエラーが発生したディスクに対して、他のディスクから取得したコピーを書込みます。書込みに失敗した場合、[書込みエラー]に記載のアクションを実行します。
ディスクの切断
ディスクが予期せず切断されたり、ディスクが認識されず読み書きに失敗した場合、ホットスペアとして構成された物理ディスクがある場合は記憶域スペースは以下のアクションを実行します。
- 対象のディスクを 障害が発生したディスクとしてマークする
- 障害が発生したディスクをホットスペアと入れ替え、書込みを実施
- ホットスペアが存在しない場合、ディスクが再接続されるか管理者が対応するのを待ちます。
ディスクが切断された場合、認識されない場合の動作は、記憶域プールの –RetireMissingPhysicalDisks 属性で指定された動作に従います。
ホットスペアが動作するための条件、挙動
ホットスペアが動作するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- ホットスペアとして指定された物理ディスクが記憶域プール内に存在していること
- 記憶域プールのRetireMissingPhysicalDisks 属性が[Always]または[Auto]に設定されていること
さらに、記憶域スペースのホットスペアは、これまでの一般的なSAN/NASとは異なり、ディスクに障害が発生した場合にホットスペアディスクが即座に活性化する訳ではありません。書込み動作が記憶域スペースに対して行われて書き込みが失敗してから5分後以降に修復が実行されます。また、ホットスペアの活性化、記憶域スペースの修復は書き込みの失敗がトリガーになっているため、仮に、障害が発生した物理ディスクが属する記憶域プール上に複数の記憶域スペースが存在していても、書き込みが失敗した記憶域スペースしか修復は実行されません。
参考:Windows Server 2012 – Storage Spaces and Data Deduplication Hands-on Review Part 6 | Baris Eris
ホットスペアを用いるのはWindows 8, Windows Server 2012 のみ
Windows 8.1 以降, Windows Server 2012 R2以降では、並行リビルド機能が新たに追加されたことから、ホットスペアは推奨されなくなりました。ホットスペアディスクを指定するよりも、必要台数よりも1~2台多い物理ディスクを接続しておくことで、障害が起きていない物理ディスクの未使用領域を利用してリビルドしてくれるようになります。