今年は梅雨明けも早く、コロナ禍が続く中でまた暑い夏がやってきそうです。
梅雨入りから夏が近づき始めると気を付けておきたいのが台風や大雨による災害です。
大雨や台風の予報を見ると心配になる日々がまたやってきますが、いつわが身に降りかかるかもしれない災害に対して備えをしておくことは重要と思い、掲題の件に触れておこうと思い立ちました。
本題に入る前に、少しなぜ災害時の情報入手手段=ラジオなのか、そしてなぜFMラジオなのかに触れておこうと思います。
災害時の情報入手手段として役割を増すFMラジオ
阪神大震災そして東日本大震災を経て、災害時の情報入手手段として放送、特にラジオが果たした役割が高く評価されました。その後、政府、総務省主導で「放送ネットワークの強靱化」というキーワードのもと、災害時の情報入手手段としての放送ネットワークを災害時にも守り、維持できるための各種検討が行われ、事業者の設備投資への補助金などの支援も取られてきました。
今後AMラジオは廃止、FMラジオへ移行する流れ
ラジオの中でも、AMラジオは送信側設備の投資負担が大きく、また老朽化された設備更改に対する投資負担の重さから、経営の厳しい民放連各ラジオ局はFMラジオへの移行を要望。総務省もこれを容認したことから、今後数年以内にこの流れ(AM放送を廃止する放送局)が現実的に目に見えてくるでしょう。
災害時はやはり、インターネットラジオではなくて放送波
そして、ここも大事なポイントです。radikoやNHKのらじる★らじるなどで、インターネットラジオに親しんでいらっしゃる方も多いでしょう。
遅延やFMラジオと比較すると音質面でのデメリットはありつつも、放送波よりも安定した品質で楽しめるインターネットラジオは、年々利用者が増えているようです。
ところが、いざ大規模災害となった場合、「通信ネットワークの可用性」「通信ネットワークに対するトラフィック負荷軽減」、そして「スマートフォンのバッテリー消費」の観点に立つと、平常時のインターネットラジオの利点が、弱点に変わってきます。
災害時には携帯電話の基地局、伝送路にも被害が及ぶ、また通信設備への電力供給が途絶えるなどにより携帯電話の通信ができなくなったり、つながりにくくなります。また、停電時や避難所ではスマートフォンの充電もままならなくなり、いかにバッテリーの残量を保つかがカギになります。そのような中では、インターネットラジオは消費電力の面でも不利となります。
最近増えているFMラジオ対応Androidスマホ
そのような中、災害時にFM放送波を受信して情報入手できるよう、FM放送波の受信に対応したAndroidスマホが増えています。
背景には、こういった災害時の情報入手手段としてFMラジオが注目されているのはもちろんのこと、もう1つはかつてその役割も担っていたワンセグ/フルセグからの置き換えによるコスト削減の観点もありそうです。
日本独自の方式であるISDB-Tに対応するよりも、SoCに標準で内蔵されているFMラジオチューナーを有効化するほうが、グローバルモデルの国内展開面でもハード変更が不要になるなど、コスト面でもメリットがあるということでしょう。
米国ではFCCからiPhoneのFMラジオ対応要請も
そういえば、SoCが持つFMラジオチューナー機能の解放については、米国でiPhoneのFMラジオ対応に関する議論が数年前にありました。
このように、災害時の情報入手手段としてのスマートフォンのFMラジオ対応のニーズは、世界的なもののようです。
実は2種類あるFMラジオ対応Androidスマホ
意外と知られていませんが、実はFMラジオに対応したAndroidスマホといった場合、2種類が存在しています。
普通のFMラジオ対応Androidスマホ
スマホの中にあるFMラジオアプリを起動して、xx.xHzといったチャンネルを合わせ聴く、いわゆる普通のFMラジオです。
ハイブリッドラジオ「らじスマ」対応Androidスマホ
こちらは、インターネットラジオのradikoアプリの上で、インターネットラジオに加えてFM放送波による放送も選択できるようになるものです。
もちろん、普通のスマホでも別途radikoアプリをダウンロードしていただければradikoを聴取することはできます。らじスマ対応機種はradikoアプリ1つで、radikoとFM放送波によるラジオ視聴の両方ができるのが特徴です。
対応したスマートフォンは、上記のらじスマのサイトに掲載されています。
ラジオリスナー層との親和性のためか、らくらくスマートフォンやBASIO、かんたんスマホなどシニア向けの端末でも対応しているようです。
FMラジオに対応しているか確認するには?
たとえばドコモの場合、機種ごとにHPに掲載されているスペック表の中に、「ワイドFM」「ハイブリッドラジオ」の項目があります。
が、他のキャリアはここまでの掲載はなされていないようです。購入時には注意が必要そうです。
【重要】スマホでFM放送波のラジオを聴取するには、アンテナとして有線イヤホンが必要
上で紹介した、(1)(2)いずれの場合もFM放送波のラジオを聴取するには、有線イヤホンが必要となります。FM放送波の受信アンテナとして、有線イヤホンが利用されるためです。波長の長いFM波のアンテナは、スマホ本体の中に収めるのは難しいため、代わりに有線イヤホンの銅線をアンテナとして利用するのです。
FMラジオが聴けるAndroidスマホをお持ちの方は、災害時に備え有線イヤホンの用意を
長々とみてきましたが、最近発売されているAndroidスマートフォンでは多くがFMラジオに対応していますが、いざ災害時に活用しようとした際に、有線イヤホンがなくて聴取できないといった残念なことになりかねません。
非常持出袋の中、あるいは日頃持ち歩く充電器などと合わせて、有線のイヤホンを備えておくことも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。