3TB のHDDが出てきて値段も1万円を切るようになってきたことで、3TB HDDをクライアントPCやサーバーのHDDとして採用するパワーユーザーが増えつつあると思いますが、WHSで3TB HDDがどこまで使えるのか正しく認識をしておく必要があります。
MBRでは最大サイズが2.2TBとなっているため、それ以上のサイズのHDDはGPTフォーマットを採用することになります。GPTフォーマットでは最大9,444,732,965TBもの領域をサポートします。
併せて最近のHDDサイズの拡大の裏で、従来の512byteセクターから4KBセクター(AFT)への移行を理解しておく必要があります。セクターサイズの拡大がHDDの大容量化を支えています。AFTディスクはWindows Vista以前のOSはサポートしていません。
これらの理由から、3TB以上のHDDは、GPTフォーマットかつAFTであるということをまず理解しておく必要があります。
その上で、WHSV1、WHS2011での3TB以上のHDD利用については以下の通りとなります。
Windows Home Server (WHS V1)
WHS V1に未フォーマットの3TB HDDを接続すると、コンソール上の[サーバーの記憶域]タブには、[非記憶域ハードドライブ]として2.73TBで一応は認識されます。
サーバーでの利用
サーバーの記憶域としてDEに追加して利用
結論:サーバーの記憶域に追加する際、コンソールがMBRとしてフォーマットするため、サーバーの記憶域にGPTパーティションは利用できません。
- (1)の状態から、サーバーの記憶域に追加の操作を行います。
- 以下のようにエラーとなります。
- WHSにリモートデスクトップで接続し、[ディスクの管理]を開くと、[初期化と変換ウィザード]が開始されます。
- しかし、手元のH342では、GPTでのフォーマットすら出来ませんでした。
- 一応WHS自体はGPTをサポートしているはずなので、DE外であれば3TBのHDDを使えるはずですが、コンソールからDEに追加する際に必ずMBRとしてフォーマットしますので、サーバーの記憶域として利用することは出来ません。
標準の状態では3TBのHDDはWHSでは使えないといってよいでしょう。ただし、非推奨の方法を使って、使えるようにする方法はいくつかあるようです(たとえばGuide: How To Make Gpt, 4K Sector Drives And 3Tb Drives Work As Storage Pool Drives In Whs Pp3 – We Got Served Forums)。
クライアントでの利用
クライアントPCでGPTパーティションを利用していた場合、WHS V1でクライアントPCのバックアップは可能ですが、リストアは出来ません。
Windows Home Server 2011(WHS2011)
WHS2011に未フォーマットの内蔵HDDを接続すると、ダッシュボードにアラートが1件表示されます。
アラートビューアーを開いて、[ハードディスクのフォーマット]を実行すると新しいHDDの追加ウィザードを実行することが出来ます。
サーバーでの利用
WHS2011はサーバーのストレージディスクとしてGPTディスクの利用をサポートしています。しかし、ダッシュボードが新しい内蔵HDDを認識した際に、
ダッシュボードを通じてHDDのフォーマットを実行すると3TBのように約2.2TBを超えるHDDの場合は
以下のように2TB以上のHDDは2TBと残りといったような複数のパーティションに自動的に分割してフォーマットします。
したがって、3TBの容量を使うことは出来ますが、”原則”パーティションは分割されます。2TBごとに分割する理由は、Windows Server 2008 R2のWinbows Server バックアップ(WHS2011のサーバーバックアップのベース)が2TBまでのバックアップしか出来ないため、バックアップ可能なサイズを超えないようにすることが目的だと思われます。
(WHS2011はダッシュボードからサーバーバックアップを構成する限りでは、バックアップ可能サイズは最大2TBですが、Windows Serverバックアップを直接起動すれば、複数のバックアップを構成出来るため、最大2TB×Nのバックアップを取得することが可能になります。)
コメントがあったので追記すると、「原則パーティションは分割されます」と書いてあるように、3TBのHDDを丸ごと1パーティションでサーバーの記憶域として使うことは不可能ではありません。上述のようにダッシュボードから[新しいHDDのフォーマット]ウィザードを実行するとパーティションが2TBと残りの領域に分割されますが、”原則”と書いているのは、この場合を意識して書いています。ディスクの管理からGPTで1パーティションとしてフォーマットし直せば3TBを1つのパーティションとして使うことは可能です。
あらかじめこのようにディスク全体を1パーティションとしてフォーマットしてあげると、ダッシュボード上でも以下のように約3TB近い領域を丸ごとサーバーのHDDとして利用することが出来ます。
しかし、その場合はやはり上述のWIndows Serverバックアップの制約からこのHDDを丸ごとバックアップするには手動でWindows Server バックアップを実行し、フォルダ毎にバックアップ先を分ける等の工夫が必要となります。これはWindows Server バックアップで利用するVHDの仕様が最大2TBとなっているためですので、VHDの仕様が改善されないと、この状況は改善しないと思われます。
約3TBとし認識しているHDDをサーバーのバックアップ用として構成すると、サーバーのバックアップ用HDDとしては全体の容量がバックアップ用に構成されます。
ただし、HDDとしては確かに3TB全体を認識しているものの、上述のようにこのHDD内に保存されるWindows Server バックアップで作成したVHDが最大約2TBとなりますので、実質その他の残りの領域は使われないこととなります。
クライアントでの利用
クライアントPCでGPTパーティションを利用していた場合、WHS2011ではクライアントPCのバックアップは出来ません。バックアップが約1%進捗した段階でエラーとなります。