まず、WHSの特徴であるDrive Extender(DE)の動作について簡単に。
WHSを新規インストールすると、すべての内蔵HDDをフォーマットします。
マザーボード上の最初のポートにつながっているHDDがプライマリHDDとなり、2つのNTFSパーティションが作成されます。
・プライマリHDDの2つのパーティション
C: (20GB) ・・・ WHSのOSがインストールされます
D:(残りの領域)・・・プライマリデータパーティション
その他のHDDはNTFSパーティションとしてフォーマットされ、セカンダリーHDDとなります。
DEはプライマリデータパーティションとセカンダリHDDを併せてDドライブとして扱い、我々にはあたかも一つのHDDであるかのようにみせてくれます。
プライマリデータパーティション(プライマリHDD上の2番目の領域)はDEにとって 特別な領域として扱われ、ここには”Tombstones”が書き込まれます。Tombstonesは1つまたは2つの”shadow”と呼ばれる実体データへリダイレクトする
小さなファイルです。Tombstonesは実体ではなくショートカットのようなものですが、アプリケーションに対しては、実際のファイルのサイズを通知するなどして、あたかも実ファイルかのように振る舞います。shadowはファイルの実体そのもので、複製がONになっていると 2つ、OFFの場合は 1つ存在します。
WHSのインストール時にインストールDVDから起動すると、(WHSで使用していたHDDが接続されている場合)「新規インストール」と「サーバーの再インストール」 どちらかを選択することができます。
「サーバーの再インストール」を選択すると、プライマリHDDの1番目のパーティションに OSを再インストールしますが、2番目のパーティション(プライマリデータパーティション) が存在する場合には一切変更を加えません(新規HDDの場合などで存在しない場合 には作成します)。またこの「サーバーの再インストール」時には内蔵・外付を問わず セカンダリHDDにも一切変更を加えません。 (「新規インストール」を選択すると、すべてフォーマットされてしまうので、注意が必要です)
再インストールプロセスの終わり頃に、すべてのセカンダリHDDのshadowsを 確認し、プライマリデータパーティションにTombstonesを再度作成する”RebuildPrimary”と呼ばれるプロセスが実行されます。
注意点:
- クライアントコンピューターのバックアップデータベースは複製されません。
(ただし、セカンダリHDDが繋がれていると、DEはファイルをセカンダリHDDに保存しようとします。セカンダリHDDに保存されているバックアップデータベースはプライマリHDDの交換後も残っている可能性があり、クライアントPCに再度コネクタをインストールすると、見えるようになる場合があります) - 大切なデータを確実に保存しておくためには、セカンダリHDDをつなげて必要なフォルダについては複製を行っておくべきです
- 上記の RebuildPrimary プロセスはすべてのセカンダリHDD内のshadowを確認し、Tombstonesの作成の必要の有無を判断し、必要に応じ作成するという手順を踏むため、時間が相当かかる場合があります
- プライマリHDDの交換が終了すると、ユーザーアカウント、add-in、その他サーバー上の設定(DynDNSやリモートアクセスの設定など)はすべて失われますので、終了後に再設定の必要があります
プライマリHDD交換の手順;
- WHSをシャットダウンし、プライマリHDDを取り出して新しいHDDをセットします。
- WHSインストールDVDから起動します。
- インストールの種類を問われる画面で「サーバーの再インストール」を選択します。
- 20GBのプライマリシステムパーティションを作成し、残りをプライマリデータパーティションとして自動的に設定されます。
- インストールの終わりの頃に、Drive Extender が RebuildPrimary を実施します。
- OSのインストールが完了したら、ユーザーアカウントやリモートアクセスの設定、add-inの再インストールなど必要な設定を再度実行します。