記憶域スペースのホワイトペーパーを執筆した際(「Windows Server 2012 R2 記憶域スペースのアーキテクチャと設計・管理のベストプラクティス」ホワイトペーパーを執筆しました)やこのブログでも以前(記憶域スペースに関する理解を深める(列数とディスク使用の関係))に、シンプル、ミラー、パリティの各スペースの特徴、ディスク使用効率、スループットについて記載しました。
Western Digital の6TB/5TBモデル登場(そして3TB/4TBモデルの特売)や夏休みに入ったことで、これからWindows 8.1,Windows Server 2012 R2 の記憶域スペース(記憶域プール)にチャレンジする方が多数いらっしゃるかと思いますが、その際は上記のホワイトペーパー、記事をよく読んで頂いてから仮想ディスクの回復性の種類を選択頂きたいと思います。
お伝えしたい重要なメッセージは、
パリティスペースはディスク使用効率は比較的高いが、書き込みスループットは非常に遅い
ということです。通常140Mbpsほど出るディスクを繋げていても、恐らくパリティスペースを構成すると遅い場合は25Mbps程度しか書き込みスピードは出ません。なぜならば、ディスクへの書き込み毎に書き込み済データがある場合は対象のデータを各ディスクから読み込み、パリティ演算を行い、その上でデータを書き込むために再度パリティ演算を行うというボトルネック工程が存在するためです。ジャーナルディスクとしてSSDを指定するなどしても、パリティスペースのスループット向上には限度があります。
ホワイトペーパーにも記載したように、大量データのバックアップなど、ディスク使用効率が求められ、かつ、スループット低下が許容できる場合にのみパリティを選択すべきです。そうでなければ、ミラー(回復性が必要でない場合はシンプル)スペースを選択すべきです。スループットやディスク使用効率含めて考えると、双方向ミラーで仮想ディスクを構築することが、最もお勧めの選択肢になります。