6/26のプリインイベントで何をしゃべろうかなと考えながら、意外とWHSの基本的なことも話すといいのかもしれないなと思い、スライドを作成してみました。
WHS最大の特徴であるドライブエクステンダー v1 なのですが、その動作については意外と理解されていない方が多いです。これまでもドライブエクステンダーの動作については、[FAQ]プライマリHDDの交換、再インストールや今はなき WHSフォーラムなどで解説をしてきましたので、個人的には非常に今更感がいっぱいなのですが、せっかくスライドを作ってみたので解説してみましょう。
もし拍手の数とか、思った以上の反響があればイベントでも少し触れようかと思います。
ちなみに、Vailではドライブエクステンダー V2 が搭載される予定です。DE V2についてはVailに搭載された、Drive Extender V2 と VSS(以前のバージョン)についてを参考にしてください。
以下、ドライブエクステンダーと記載があるのは DE V1 だと思ってください。
ドライブエクステンダーとは?
まず、ドライブエクステンダーとは。これはいいですよね。前回のイベントの林さんのスライドをそのまま頂きました。
ドライブエクステンダーの仕組
HDDが複数あった場合、
・システムがインストールされるプライマリHDD
・サーバーの記憶域に追加されるセカンダリHDD
に分類されます。
プライマリHDDはWHSのインストール工程で自動的にシステムパーティション(Cドライブ、20GB)と、残りのプライマリデータパーティションに分割されます。
セカンダリHDDはHDD全体がセカンダリデータパーティションとしてフォーマットされます。
そして、プライマリデータパーティションとセカンダリデータパーティションを全て合わせて、サーバーの記憶域として一つのボリュームかのように見せてくれるのがDEの特徴です。
ここで、サーバーの記憶域に D というドライブレターを振っていますが、実際にはエクスプローラーからDドライブを直接操作することはNGで、\\server\ユーザー名 のようにUNC形式のアドレスから、共有フォルダとして扱う必要があります。
サーバーの記憶域(共有フォルダ)にデータを保存すると、実際にはプライマリデータパーティションにTombstones(目印というか、リンクのようなもの)を保存、ファイルの実体はセカンダリデータパーティションに保存されます。共有フォルダから見えているファイルは実は Tombstoneであり、ファイルの実体ではないのがDEのキモです。
フォルダの複製をオンにすると、1時間毎に1回のタイミング等で動いている DEMigrator.exeというプロセスが、他のHDDのデータパーティション(セカンダリデータパーティションが複数ある場合はセカンダリデータパーティションに、セカンダリデータパーティションが一つの場合はプライマリデータパーティションに)ファイルの実体であるShadowをコピーします。この複製の処理がリアルタイムでないのも、DE V1 の特徴です。
サーバーの再インストール
よく質問されるのが、サーバーの再インストールを実施した場合に共有フォルダ内のデータは消えないのですか?という質問です。
サーバーの再インストールでは、セカンダリデータパーティションには一切変更を加えません。HDDの交換を伴わないサーバーの再インストールを行う場合、まずシステムパーティションにOSを再インストールします。OSのインストールプロセスが終わると、最終工程でプライマリデータパーティションに対して Rebuild Primary と呼ばれる処理が実施されます。これはセカンダリデータパーティション内のShadowを検索して、それにリンクする Tombstone を作り直すプロセスです。 Tombstoneを作り直すことで、サーバーの記憶域(共有フォルダ)に、ファイルとして見えるようになります。
ここで重要な示唆は、セカンダリデータパーティションにShadowを2つ持っておく(すなわちフォルダの複製を有効にしておく)ことで、特定のHDDに物理障害が発生しても、共有フォルダのデータは失われないということです。逆に、Shadowが一つしかない場合、そのShadowが保存されているHDDに物理障害が発生した場合は、そのデータは失われます。
プライマリHDDを交換する場合は、新たに追加された新しいプライマリHDDにシステムパーティションを作成しOSのインストールを実施します。
そして、インストールの最終工程で新たに作成されたプライマリデータパーティションにTomstoneを作り直す、Rebuild Primaryプロセスが実行されます。
セカンダリHDDを交換してさらにサーバーの再インストールをする場合、まずプライマリHDDに対してOSの再インストールと Rebuild Primaryの処理、インストール完了後にコンソールから新たに追加したHDDをサーバーの記憶域として追加することで、フォルダの複製処理(Shadowのコピー)が行われます。
留意点としては、[サーバーの再インストール]ではなく[新規インストール]を実行するとセカンダリHDDも全てフォーマットされてしまうこと。サーバーの再インストールを行う場合、サーバーの共有フォルダ内に保存されていたファイル数に応じて、Rebuild Primary 処理に時間がかかることです。
ファイルの競合
WHSでファイルの競合エラーが表示される場合があります。その原因は[FAQ]ファイルの競合 メッセージ解決の手順をよく読んで頂きたいのですが、何らかの原因でDEがTombstone や Shadowを正しく認識出来ない、複製処理が行えないなどの場合にファイルの競合エラーが表示されます。
原因の大半は、UNCではなくドライブレターを指定したファイルへのアクセスや、WHSに対応していないアンチウィルスソフトによるShadowの検疫などです。