前回、Windows Home Serverを取り巻く環境についてでおおよその現状を書いてみました。その中でPCギークやWindows Home Serverの利用者層のうち録画チューナーのヘビーユーザー層がかなりの割合を占めている実態について記載しました。
日本の地デジでは、ARIB(電波産業会)で定められたコンテンツ保護規定があります。(このあたりの詳細について興味のある方は、ARIBの技術資料(TR-B14)あたりをご覧頂くと良いかと思います)
このコンテンツ保護の仕組みが国際的にみて非常に特殊(日本ローカルルール)なため、Windowsのような海外製OSには標準でその仕組みが実装されていません。
具体的には、
- 高速デジタルインタフェース出力時のDTCP
- IPインタフェース出力時のDTCP Volume 1 Revision 1.4以降及びDTCP Volume 1 Supplement E 「Mapping DTCP to IP」 Revesion 1.1(いわゆるDTCP-IP)以降準拠
- リムーバブル記録媒体へのコンテンツ保護方式(CPS for BD-RE、CPRM、MagicGateなど)
などがあげられます。これらの仕組みは、クライアントOSにおいてもOS標準ではほとんどサポートされていないため、3rdパーティ製のソフトウェアに対応が委ねられています。
このために、Windows Home Server 2011 ネイティブ機能では以下のような問題があります。
- Windnows Media Center で録画した地デジコンテンツをWinodws Home Server 2011上に保存しても、Windows Home Server 2011からDLNA配信やリモートWebアクセスサイトのメディアストリーミングが出来ない。
また、Windows Home Server 2011に地デジチューナーを接続しても、3rdパーティー製のソフトウェアがWindows Home Server 2011に対応していない場合は、以下のような問題が起こります。
- 地デジチューナー付属のDTCP-IPサーバーソフトが対応していないため、インストールしても正しく動作しない。
(DiXimなど) - 地デジチューナー付属のユーティリティソフトから、BDやSDカード、PSP等に録画した地デジコンテンツを書きだそうしても書き出すことが出来ない。
(mAgic TVなど)
Windows自体がこれらの著作権保護の仕組みに対応するのは現在のところ、残念ながら非常に可能性が低いかと思われます。Windows 8 での対応を願っているのですが、今のところそのような情報はありません。また、国内の地デジチューナー販売会社さん、たとえばアイ・オー・データさん、バッファローさん、ピクセラさんがWindows Home Server 2011対応の地デジチューナーを販売されるといった動きも今のところ残念ながら聞こえてきません。
PC用地デジチューナーをつなげて録画するとしたら、使うときにしか電源が入っていない通常のPCよりも、ほぼ24時間起動しているホームサーバーにつなげたいと思うのは自然ですし、スマートフォンへの持ち出しやタブレットデバイスでの再生の時にも、PCを起動するのではなく稼働しているホームサーバーから持ち出し、再生したいと考える方が自然です。
今回、アイ・オー・データさんが法人向けとはいえでもWindows Home Server 2011対応製品を販売されたことから、是非地デジチューナーについてもWindows Home Server 2011対応を進めて頂けないかと考えています。PC用地デジチューナー市場の拡大、ホームサーバー市場の拡大、グレーなチューナーの一掃等の観点からも是非考えて頂けませんでしょうか。