これまで、HPのMicroServer N54LにWindows Server 2012 R2 Essentialsをインストールしてホームサーバーとして利用してきましたが、以前よりThecus社のWindows Storage Server 2012 R2 Essentials(以下WSS R2E)搭載の製品が気になっていました。
ひょんなことから安価に4bayのW4000を入手できたので、これをメインのサーバーにしようと思います。
実は、ebayで電源は入るが動かないとして部品取りで出品されていたのですが、動かせるんじゃないかと思い、思い切って落札してみました。
実際に到着したW4000は電源は入るものの、ディスプレイに何も出力されずBIOSすら起動しない状態でしたが、鳩の谷の街さんのアドバイスで、見事に復活しました。
鳩の谷の街さん、さすがです。基盤に電源コネクターが半田つけされているところに、半田を盛りなおしてみたところ見事復活しました♪
これまで使ってきたMicroServerと比較してThecusのWSS R2E搭載の良いところを気が付いた範囲で上げてみます。
Thecus のWSS R2E搭載NASの優れているところ
とにかく筐体がコンパクト
MicroServerは5インチベイを搭載していたこともあり、筐体が全体的に大きく場所をとっていました。ThecusのW4000は4bay+システム用SSDを搭載していながら、全体的に大きさが二回りくらい小さく、場所を取りません。高さはMicroServerの2/3くらいになります。
左がMicroServer N54L、右がThecus W4000です。
MicroServerは撮影用に前に出したので遠近法も手伝ってフェアな比較はないですが、高さがだいぶ違うのはお分かりいただけると思います。同じラックの中に入れても、同じ4bayなのに、とにかくフットプリントが小さくなったのでかなりすっきりした感があります。
とにかく静か
ファンの音がとにかく静かで、いまこうやって記事を書いているディスクの上にサーバーを置いて、古いサーバーからデータコピーしていますが、音がほとんどしません。
この音量なら、これまでMicroServerを置いてきた本棚に移すと、電源が入っていることにすら気が付かないと思います。
以前Windows Home Serverで使っていたAcerのH342もファンの音が静かでしたが、それを上回る静寂性に思います。
システムディスクはシャドーベイにあるので、ベイを有効に利用できる
Thecusの WSS R2E搭載 NASには2bay,4bay,5bayのラインナップがありますが、システムディスクはシャドーベイにSSDが内蔵されています。そのため、bayがすべてデータディスク用に利用できるのもかなりの利点です。
新しいAtomはそこそこ力があって省電力
CPUはAtom D2701(2.13 GHz、10W、1MB)が搭載されています。最近発売された製品なのに、ずいぶん古いCPUを使っているなという印象ですが、その分製造原価を抑えているのでしょう。
これまで使っていたMicroServer N54LのAMD Turion II NEO N54Lプロセッサー(2.2GHz、25W、2MB)と比較してTDPがだいぶ小さくなったので、省電力が期待できそうです。
性能はそこそこですが、システムディスクがSSDになっていることもあって、引っかかる感じなどはないため、逆に高性能に感じます。
HDMIやRGBがある
AcerのH342など、かつてのWHSアプライアンス製品は、Windowsロゴ認定の条件にヘッドレスであることという不可思議な条件が付いていたため、RGBなどのポートがありませんでした。これは障害時の切り分けや対応の際にとても困る原因でした。
この製品はHDMIやRGBが搭載されているので、そういった不安もありません。
フロントにUSB 3.0がある
普段は、サーバーにiTunesをインストールして、音楽はサーバーに取り込み、iPhoneとはワイヤレス同期をして使っています。こういったデバイスを設定する際に、初回の設定ではサーバーとUSBで接続する必要があるため、フロントにUSB端子があるのは利点です。
さらに3.0に対応しているのもプラスです。
SSD+UEFIで起動が速い
システムディスクがSSDになり、BIOSからUEFIになったことで、起動時間がMicroServer N54Lと比較してとても短くなりました。再起動したあとに、リモートデスクトップで入ろうとすると、入れるようになるまで相当時間がかかっていらいらしていたので、これは嬉しい改善です。
Storage Server 2012 R2 Essentialsは既存のAD環境にも追加可能
SKUとして販売されているWindows Server 2012 R2 Essentials は、自身がADの中で唯一のドメインコントローラーになる必要があり、他のドメインと信頼関係を結ぶこともできません。これはライセンス面だけでなく、機能上も監視されているため、この条件から逸脱すると一定期間経過後から、OSが起動しても定期的に自動的に強制シャットダウンするようになります。
一方、Windows Storage Server 2012 R2 Essentialsや、Windows Server でEssentialsエクスペリエンスを有効にした場合は、既存のAD環境にメンバーサーバーとして追加したり、2台目以降のドメインコントローラーとして追加することもできます。ライセンス/機能上の制約が小さいため、運用的にも楽だと思います。
逆に難点をあげると
この2つくらいしか思い浮かびませんでした…。価格は個人目線では難点ですが、SMB目線ではプラスになります。
価格
なんといってもまずは価格ですね。OS込なので、Windows Server 2012 R2 EssentialsをOSのみで買うよりははるかにお得です。
個人ユースで考えると、旧WHSアプライアンス製品の感覚からするとお値段が2倍くらいに感じますね…。一方で、本来のSMB、法人ユースから考えると10万円未満で購入できるのは逆に大きなメリットです。
中小企業やSOHOなどのSMB環境で、サーバーなんてないしリモートアクセスもできないような環境ってまだまだあるのではないでしょうか?そういった環境に初めて入れるサーバーとして、とてもお勧めです。
システム起動時のビープ音
システム起動時に必ずビープ音が一度なります。これは消せる設定があるといいのですが、残念ながらなさそうです。ただ、TDP的には電気代は非常にお安いので、24h運用がよさそうです。
スリープができない(休止は可能)
ビデオドライバーがインストールされておらず、スリープができません。Lights-Outで夜スリープさせようとしてもできないことから、難点となってます。利用されているグラフィックチップはGMA3600のようです。Windows10でもドライバーが現状ないようです。うまくドライバーを見つけられるといいのですが、今のところスリープできません。
休止状態(ハイバネーション)はコマンドプロンプトから以下のコマンドで有効化できますので、休止状態を活用したいと思います。
powercfg /H ON
Windows Server EssentialsはSMBの力になれるプロダクト。もちろん自宅サーバーにも。
Windows Server Essentialsは、Windows サーバーOSの持つたくさんの機能に加えて、さらに以下のようなことを手軽に実現できるSMB向けの機能です。
- クライアントPCの自動バックアップと、クライアントPCの(OS含めて環境をそのまま戻せる)ベアメタルリストア
- リモートWebアクセス、社外からも社内にいるかのように社内環境に接続できるAnywhere Access
- ダッシュボードから簡単に設定できるユーザーと共有フォルダーの管理
- Active Directoryを通じたユーザー管理と、ポリシー管理
- マイクロソフトのクラウドサービス(Officeスイートの利用とコラボを実現するOffice 365、Disaster RecoveryにもなるAzure Backup、デバイス管理のIntuneなど)との連携
SMB向けではありますが、多くの機能はかつてWindows Home Serverで自宅サーバー向けにも提供されていたものですので、自宅サーバーとしてももちろんお勧めできます。最近はいわゆるNASが高機能化し、スマホ連携などの機能も増えているので、家庭向けはNASのほうが値段も機能もお勧めかもしれませんが、やっぱりWindowsがやっぱりいいという方も多いのではと思います。
本業の多忙もあり、最近はブログのポストも減っていましたが、Storage Serverも入手しましたし、改めてEssentialsの良さを伝えられないかという話もあがっているので、もう一度初心に戻って情報を出していけたらいいなと思っています。