今後、WHSのリプレイスや新規に自宅でWindows OSベースのサーバーを立てる場合の選択肢について考えてみました。あれこれ書いてみましたが、やはりどれも一長一短でこれといった選択肢はなく、WHSユーザーにとっては今後悩ましい時代が続くのは間違いなさそうです・・・。
2015年の今ならこれしかない。
2015年に入り、ようやく後継製品ともいえる製品を入手できるようになりました。
WHS後継サーバーの本命、Thecus社のWindows Storage Server 2012 R2 Essentialsを搭載したNASが国内上陸。を参照ください。
この Windows Storage Server 2012 R2 Essentials搭載 NASであれば、これまでのWindows Home Server同様、「クライアントコンピューターの自動バックアップ」「リモートWebアクセス」「無料のDDNS」「共有フォルダー」「DLNAサーバー」が利用できます。
Windows 8.1、Windows 10 をサーバーに仕立てる
以前紹介しましたが、Windows 8、Windows 8.1、Windows 10でも記憶域スペースやHyper-Vが使えるようになり、自宅サーバーOSとしても十分使用できる機能を備えるようになっています。
機能対応可否
分類 |
対応可否 |
記憶域(DE代替) | ・記憶域スペース ・VVAULT |
重複除去 |
× |
Hyper-V |
△ |
クライアントバックアップ | ・EaseUS ToDo Backup ・AOMEI backupper |
リモートWebアクセス |
× |
Winodows 8.1 をサーバーOSとして使うメリット
まず、価格が安いことが最大のメリットです。
次に、Windows 8.1 はクライアントOSですので、サポートされるデバイスが多くドライバまわりで苦労しないことがメリットとしてあげられます。これまでも、たとえばLANカードがサーバーOSをサポートしないものがあり、infファイルのカスタマイズを必要としていましたが、このような手間も必要ありません。OSがWindows 8.1であることで、クライアントOS向けに提供されるいろいろなハードウェアが問題無く利用できるのは最大のメリットといえるでしょう。
また、録画サーバーとして用いる際にMediaCenterなどの機能を活用できるのもメリットです(Windows 7 Media Center対応で発売された地デジチューナーをWindows 8で利用する方法は非常にグレーな方法ですがこちらが参考になりました)。
記憶域スペースが利用できることで、WHS2011にはなかった高度な記憶域仮想化機能が利用できるのも大きな魅力です。
Windows 8.1 をサーバーOSとして使うデメリット
Hyper-Vには一部機能制約があったり、サーバーOSでしか使えない機能、たとえば重複除去が利用できないことがデメリットとしてあげられます。
また、Windows Home Server にあったクライアントバックアップやリモートWebアクセス機能はWindows 8にはありませんので、この機能を求める場合は、別な方法の検討が必要になります。
WHS2011のダッシュボードのような手軽な管理機能がないことから、ユーザー管理や共有フォルダーの管理もややスキルが必要となります。
クライアントバックアップは、EaseUS ToDo Backupでの代替も
クライアントバックアップは、EasuUS ToDo Backupを用いると、WHS同様のスケジュール化された自動イメージバックアップ、ベアメタルリストアが可能です。
Windows 8 + Hyper-V ゲストとしての WHS2011 でおうちサーバーを立てる
WHS2011 を何らかの方法で入手出来れば、Windows 8 のHyper-VのゲストとしてWHS2011を稼働させることで、安価かつ高機能なおうちサーバーを実現することができます。
機能対応可否
分類 |
対応可否 |
記憶域(DE代替) | ・記憶域スペース ・VVAULT |
重複除去 |
× |
Hyper-V |
△ |
クライアントバックアップ |
○ |
リモートWebアクセス |
○ (xxx.homeserver.com) |
詳細は、以前ポストしたWindows 8 + WHS2011 でおうちサーバーをつくる(1)~(3)を参考にしてください。
Windows 8 + WHS2011 のメリット
OSは両方とも比較的安価に入手出来ます。
記憶域スペースなどWindows 8 のいいところと、Hyper-V上のWHS2011のいいとこどりを出来るのがこの構成のメリットです。
Hyper-V上のWHS2011で、Windows 8では利用できないクライアントバックアップとリモートWebアクセスを稼働させることができます。
Windows 8 + WHS2011 のデメリット
まず、Hyper-Vについてある程度の知識がないと、この構成は成り立ちません。
次に、ホスト側のWindows 8で記憶域スペースを利用する場合、Hyper-VのゲストOSへの記憶域スペースパススルーは利用できないため、WHS2011で利用する記憶域で記憶域スペースによるメリットを享受するには、Windows 8 で作成した記憶域スペース上にVHDXを置きそれをWHS2011にアタッチする必要があります。このあたりはホームユースにしては手間がかかりますので、手間がかかっても工夫して楽しむことが好きでない人にはお勧めできません(場合によってはVMwareを利用したほうが手軽かも)。
また、Hyper-VゲストではホストOSに接続されたUSB機器を利用することは出来ないため、このあたりもあらかじめ注意が必要です。
最後に、WHS2011を仮想環境で稼働させることはサポートされていないことから、この点も自己責任となります。
Windows Server 2012 R2 Essentials を利用する
WHS2011 で利用していた機能を同様に利用したいのであれば、WHS2011 の後継OSとしてのWindows Server 2012 R2 Essentials が選択肢に入ってきます。
機能対応可否
分類 |
対応可否 |
記憶域(DE代替) | ・記憶域スペース |
重複除去 |
○ |
Hyper-V |
○ |
クライアントバックアップ |
○ |
リモートWebアクセス |
○ (xxx.remotewebaccess.com) |
Windows Server 2012 R2 Essentials を利用するメリット
Windows Server 2012 R2 Essentials はWHS2011で利用できた機能は全て利用することができます。また、クライアントコンピューターのリストアの際には、従来のようなCD or USBメディアからのブートではなく、ネットワーク経由のPXEブートでリストアウィザードを起動できるようになるなど、機能も向上しています。更に、Office 365 の統合など、オンプレミス+クラウドのハイブリッド構成が可能となることから、複数ユーザーでOffice 365を利用している方、利用したい方にもお勧めできます。
Windows Server 2012 R2 Essentials では、Essentials SKUにつきものだった機能制約がだいぶ緩和され、Hyper-Vなども利用できるようになっています。サーバーOSの勉強目的でも、自宅でAD環境を手軽に構築できるのは大きなメリットかもしれません(Essentials では重複除去は依然として利用できないため注意してください。)。
ドメイン環境になることで、グループポリシーの配信による集中管理などが可能になることも魅力に感じられる場合があるかもしれません。
Windows Server 2012 R2 Essentials を利用するデメリット
なんといっても価格が高いこと。次に、サーバーOSであるが故に、サポートされないHWが存在すること。サーバー上ではActive Directoryドメインが必須となる(クライアントはドメインに参加させずに登録することも可能。詳細は[FAQ:WSE]Windows Server 2012 Essentials にクライアントを接続する際に、ドメインに参加させずに接続する方法参照)ため、ネットワーク上にドメイン非参加のコンピューターがあると、エクスプローラー上で表示されないことなどがあります。ADに関する知識がないと、WSEを運用するのは厳しいかもしれません。たとえば、DLNA(DTCP-IP)サーバーがネットワーク上にあり、クライアントでそれらのサーバー上のコンテンツを利用したい場合は、クライアントはドメイン参加させてしまうとコンテンツにアクセス出来なくなるなど、ホームネットワークの手軽さが失われるおそれがあります。