FC SAN、iSCSI SANと比較した場合の記憶域スペースのコストとパフォーマンス

Windows Server 2012 R2

先日、Maximizing Storage Efficiency in Windows Server 2012 R2 and Windows Storage Server 2012 R2というホワイトペーパー(英語)が公開されました。

その中で、Appendix に記憶域スペースとFC SAN、iSCSI SANを比較した内容(Enterprise Strategy Group の検証結果)がありましたので、そこから抜粋します。

記憶域スペース over SMB のパフォーマンスは FC SANやiSCSI SANに劣らない

下のグラフは、SQL Serverのレスポンスタイムを指標値として、記憶域スペース over SMB、FC SAN、iSCSI SAN、記憶域スペース over SMB with RDMAのパフォーマンスをVMのマシン数毎に比較したものです。

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レスポンスタイムですので、値が小さいほど性能が高いということになりますが、記憶域スペース over SMBと FC SAN、iSCSI SANとのパフォーマンスの差はかなり小さいという結果が出ています。また、RDMAが有効になっている場合は、記憶域スペースがFC SANや iSCSI SANの性能を上回っています。

調達コスト(GBあたり)はFC SAN、iSCSI SANの約半分

性能はさほど変らないのに対し、ストレージの調達コスト(GBあたり)はFC SAN($6.65)やiSCSI SAN($6.19)に対して記憶域スペース over SMBの場合は約半分($3.33)になっています。

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一方で・・・

ホワイトペーパーの最後には、マイクロソフトの記憶域スペースの場合、マイクロソフトの管理ツールを用いて記憶域の管理、メンテナンスが可能なことから、管理者はSANベンダー特有の管理、メンテナンスツールやスキルは不要であり、維持コスト面で有利と書かれています。システム管理者が社内にいて、運用維持を行う前提の海外と、運用維持(あるいは障害時の復旧)の大半はベンダー任せになりがちな日本の場合ではこの点は割引いて考えないといけないかもしれません。また、SIからの導入が多い日本では、SIベンダーがまだまだ記憶域スペースになれていないことも記憶域スペースが検討の候補に挙がってこない遠因かもしれません。

とはいいつつもやはり記憶域スペースのメリットは大きい

業界標準のハードウェアのみで、高価なHBAやコントローラーを必要としない記憶域スペースのコスト面での優位、あるいはSMB 3.0 と組み合わせた記憶域スペース over SMBのパフォーマンスはストレージ専業ベンダーの製品になかなか手を出せなかった中小企業、あるいはストレージコストに頭を悩ませていた大企業、ホスターにとってのメリットは大きいと思われます。

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