RTMが近いとされるWindows Server 2012をベースとした、Windows Small Business Server 2011 Essentials の後継製品、「Windows Server 2012 Essentials」に関する情報が公開されました。Windows Server 2012 Essentials は Small Business Server 2011 Essentials の後継製品という位置づけですが、Windows Home Server 2011 や Windows Storage Server 2008 R2 Essentials 向けマーケットについても狙った製品となります。従来はWindows Server Solution 製品として、ほぼ共通のコードを元に「Windows Home Server 2011」「Windows Small Business Server 2011 Essentials」「Windows Storage Server 2008 R2 Essentials」の3製品が開発されていました。Windows 8 でも 流通コスト削減やシンプルなわかりやすさを意識したとみられるSKU見直しがありますが、Windows Server Solution 製品群でも今回見直しが入りEssentialsに一本化された上で、更にはWindows Server の SKUの一つとしてEssentialsが位置づけられる形になります。
Windows Server 2012 がベースになることの主なメリット
Storage Pool、ReFSによるDE代替
Windows Server 2012 Essentials はWindows Server 2012 をベースとしていますので、複数の物理HDDを束ねて仮想的に1つのストレージとして利用出来る「Storage Pool」 、ファイルの復元可能性を高めた新しいファイルシステム 「ReFS」を始めとしたWindows Server 2012 の新しい機能が利用出来ます。Drive Extenderの廃止により大きな魅力を失ってしまった2代目のWinodws Home Server 2011 の最大の欠点がこれで補われ、ようやく3rdパーティーのDE代替ソリューションを検討しなくても、WHS V1からの乗換を本格的に検討できるようになるのは大きなメリットだと思います。
VHDXによるVHD 2TBの壁の突破、Advanced Format Technology等への対応
Windows Home Server 2011では、WHS V1からの改善点としてサーバーバックアップでOS自身のバックアップも可能になりましたが、サーバーバックアップはVHDを利用するためバックアップ可能サイズが最大2TBの制限がありました。
Windows Server 2012 で新たに採用されたVHDXは最大サイズが64TBまで拡張されましたので、この制約がなくなります。また、VHDはAdvanced Format非対応でパフォーマンスの低下が発生していましたが、VHDXではAFTディスクにも対応するためサーバーバックアップのパフォーマンス改善も期待できます。
SMB 2.2 改めSMB 3.0によるパフォーマンス向上
Windows 8 と組み合わせて使うことで、SMB 3.0 によるパフォーマンス向上のメリットを享受することができます。
さようなら Windows Home Server
2008年に発売されたWindows Home Server は、「ママでも使えるサーバー」を標榜し、家庭にもサーバーをという非常に野心的なプロダクトでした。目指した「ママでも使える」は実際にはそれとはほど遠いもので、安定して運用するにはそれなりの知識が必要となる製品ということもあり、実際にはママではなくGeek、パワーユーザーが愛好するOSになってしまったものの、急激に増える家庭のデジタルアセット(写真、ビデオなど)を安全に保存できるサーバーというコンセプトは時代の要請にもフィットしていたように思います。
しかし、家庭向けOSとして目指していたところが、実際にはGeek中心であったことに加えクライアントの自動バックアップ、Drive Extenderなどの機能がスモールビジネスで評価され始めると、迷走が始まりました。WHS V1の後継製品Windows Home Server 2011は、Small Business Server 2011 Essentials、Windows Storage Server 2008 R2 Essentialsとコードを共有し、WHSの機能をSmall Business向けにもという方針に変わっていきます。
ところがこの方針転換が悲劇を招きます。デジタルアセットを安全に保存するためのテクノロジーであった「Drive Extender」が、Small Businessでの各種アプリケーションとの互換性を理由に、Small Business Server 2011 Essentialsだけでなく、Windows Home Server 2011でも廃止されることが決定されるという本末転倒な結果を招きました。これがOEMメーカーの撤退を引き起こし、WHS V1を牽引したHPはWHS2011では完全撤退、Acerは製品は発表したもののアジアの一部でのみ販売し、北米、ヨーロッパ市場では販売すら行っていない現状となりました。
そして、今回 Windows Home Serve ブランド の廃止となるわけですが、その機能は全てWindows Server 2012 Essentialsに引き継がれていると考えて頂いて構いません。ただし、Small Business Server 2011 Essentialsの後継製品ということでOSの価格もそれ相応の価格となります($425)。価格、機能、OEM製品の登場等、Windows Server 2012 Essentialsが、Windows Home Server ユーザーが移行するだけの魅力のある製品となるかどうか、当面は今後の情報に期待と思っています。
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