Wi-Fiの進歩が、建売住宅を買って壁内LAN配線がなかった絶望から解放してくれた話

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我が家はまもなく入居後10年になる戸建て住宅ですが、それまであまり家にこだわりがなく、当時借りていた賃貸マンションの近くに売りに出ていた建売住宅を購入したものです。

「家は3回建ててようやく満足いく家が建てられる」といった話もありますが、あまり家にこだわりがないといっていた私にも入居後、「これが家を買う難しさか…」と身をもって思い知ったことがいくつもありました。多くは割り切りつつも、これだけはという後悔をずっと引きずっていたのが、壁内LAN配線です。

壁内LAN配線がなく、またCD管も設置されていなかったため、LANケーブルの配線はあきらめざるをえず、入居後からこれまではいかにWi-Fiで快適な環境を構築するかの戦いでした。

光回線のルーターは1F、自室は2F…自室に高速で快適な通信環境が欲しい ー これまでの取り組み

コロナになり自宅でのテレワークが基本となる以前から、2Fの自室で快適な通信を実現する試行錯誤を繰り返しており、その取り組みは何度かこのブログでも紹介をしてきました。

最初は、2FのPCから安定して下り200Mbps越えを実現し満足していたところに、

機器構成を変更して11ax対応の親機と子機を組み合わせたことで、2FのPCから下り500Mbps越えを実現し、テレワークの環境としても一定の満足をしていました。

一定のと書いたのは、実はその後も2つの点で気になる点を抱えていて、それがずっと気になっていたためです。

何が不満だったのか

その後もあくなきネットワーク環境改善の旅を続けることになったのは、以下の2つのポイントでした。

(1) なぜかスマホでは下り速度が200Mbps程度で頭打ちに

これまで重きを置いていたのは、2Fの自室にあるPCでのスループット速度が出るかという点で、スマホからの速度はそこまで気にはしていませんでした。

SPEEDTESTアプリを利用して計測すると、1FのメッシュWi-Fi親機の近くでも、2FのメッシュWi-Fi子機の近くでも、だいたい200Mbps程度で速度が頭打ちになり、調子が良くて220Mbps、そうでないと100Mbps台後半といった感じでした。

上りは速度が割と出るのに、なぜか下りは200Mbps程度で頭打ち

これだけでもまぁ十分といえば十分、動画を見るにも何をするにも不便はないのですが、せっかく2FのPCからは(1Fと2Fの間をメッシュWi-Fiで中継しているにも関わらず)500Mbps程度出ることがあった=WAN回線としてはもっとスループットが出ているので、せっかくならスマホでももっと速度がでないものかと設定を見直したりしていました。

(2) 外出先から家族が帰宅すると途切れる通信

もう1つのペインポイントは、なぜか外出先から家族が帰宅すると一瞬途切れる通信です。2Fの自室は玄関の真上にあるのですが、外出先から家族が帰宅すると、2FのPCでの通信が途切れ、TeamsやWebexでの会議が切断されたり一時的に音が途切れるといったことがままありました。

おそらく、家族が持ったスマホが近づくと、スマホが2Fに設置されたメッシュWi-Fi子機の電波をつかむことが原因ではないかと思うのですが、本来メッシュWi-Fi間でのローミングがシームレスに提供されるはずで、通信が途切れるというのは何とかならないものかとストレスを感じていました。

そして今の現状は

結論から先に述べると、現状この2つの課題は完全に解決されました。

(1) スマホからも600Mbpsを超えるスループットが

これまで200Mbps程度で頭打ちだったスマホ(iPhone 8や11Pro)からのSPEEDTESTですが、調子がいいと600Mbps越え、夜間の通信が混む時間でも最低でも300Mbps台後半から400Mbps台のスループットが安定して出るようになりました。

下りも好調なときは600Mbpsを超え、WAN回線の速度をほぼそのままスマホでも享受できている

これだけ出ていると、WAN回線のスループットをほぼ余すところなく活かせているように思います。PCのようにハードウェアスペックや電力供給で恵まれた機器だけでなく、スマホでもこれだけの速度が出る時代がきたというのは感慨深いものがあり隔世の感です。

(2) 家族が帰宅しても切れない通信

もう1つの懸案だった、家族が帰宅すると途切れる通信問題についても無事解決し、テレワークでTeamsやWebexで会議をしているときに切断されて会議に接続しなおすといったこともなくなりました。

解決のためにしたことは何か

この2つのペインポイントの解決にあたり、長く試行錯誤してきました。これまでに取り組んできたことは機器の構成入れ替え含めて多数ありますが、機器入れ替え後も長らく同じ問題にあたっていたので、主には以下の(1)設定の見直しが効いているように思います。

(1) 設定の見直し

以下の設定により、スマホでのWi-Fi接続も高いスループットが安定するようになりました。

スマートのコネクトの無効化

スマートコネクトとは、ASUSのサイトによると

スマートコネクトは、電波の強さ、デバイスのスピード性能、混雑状況に応じて2.4GHz 、5GHzの帯域を自動的に割り当てることによって、より快適な無線通信を提供します。

[Wireless] スマートコネクトの設定方法

とのことで、一見いいことづくめのような感もあるのですが、意図せず2.4Ghz帯に接続されて速度が出ないといったこともあるようです。私の場合は、5Ghz対応のクライアントは5Ghz帯に接続させて、2.4Ghz帯の干渉の影響を受けさせたくなかったので、オフにしました。

5Ghz無線LANの設定値見直し

どちらの問題(スマホのスループットが出ない、外出先から家族が戻ると通信が途切れる)も、Wi-Fiのパラメーターに関する問題ではないかとの疑問から、パラメーターの設定変更を繰り返し、今は以下の設定値で落ち着いています。外出先から家族が帰宅すると通信が切断するのは、ビームフォーミングの問題だったのではないかと想像しています。

全般タブ
項目名設定値選択肢
ワイヤレスモード自動自動、AX only、N/AC/AX mixed/Legacy
802.11ax / WiFi 6 モード有効有効、無効
WiFi アジャイルマルチバンド無効有効、無効
ターゲットウェイクタイム有効有効、無効
チャンネル帯域20/40/80Mhz20Mhz、40Mhz、80Mhz、20/40/80Mhz
チャンネル自動36-64
DFSを含むチャンネルの自動選択チェックオン
拡張チャンネル自動
認証方式WPA2-Personal
WPA 暗号化方式AES
管理フレーム保護無効
パスワードローテーション間隔0
詳細タブ
項目名設定値選択肢
ローミングアシスト有効有効、無効
IGMP スヌーピング有効有効、無効
マルチキャスト速度(Mbps)OFDM 54自動、OFDM(6,9,12,18,24,36,48,54)
AMPDU RTS無効有効、無効
DTIM 間隔1
ビーコン間隔100
Tx バースト有効有効、無効
WMM を有効にする有効有効、無効
WMM 非確認応答を有効にする無効有効、無効
WMM APSD を有効にする無効有効、無効
A-MPDU の最適化無効有効、無効
変調方式Up to MCS 11(NitroQAM/1024-QAM)
エアタイムフェアネス無効有効、無効
OFDMA/802.11ax MU-MIMODL OFDMA only無効、DL OFDMA only、DL/UL OFDMA、DL/UL OFDMA+MU MIMO
エクスプリシット ビームフォーミング無効有効、無効
インプリシットビームフォーミング無効有効、無効
送信出力制御最高

(2) 機器構成の見直し(余談)

以前の環境から大きく以下2点構成を変更しています。
が、この機器構成に変更後も課題となっていた事象は発生していたため、先に上げたペインポイントの原因にはなっていないものです。あくまで、その他の要因(主には自己満足)ですので、ご参考まで。

変更前の環境。これ以外に無線LANのクライアントが多数

メッシュWi-Fi子機もトライバンド対応のASUS ZenWiFi AXに変更

2Fに設定していたメッシュWi-Fi子機は、これまでASUS AX-3000を利用していましたが、これはデュアルバンドにしか対応しておらず、2Fと1Fの間のネットワーク接続に用いるバックボーンと、2Fで5Ghz帯のWi-Fiを提供する帯域が共用されていました(単純にいうとチャネルを半分ずつ使うことに)。

2Fで利用する5GhzのWi-Fi帯域も十分な帯域幅を実現したいと考えたため、2FのメッシュWi-Fi子機も買い替えて変更しました。

ただし、もともとの課題感のあったスマホでのスループットが頭打ちになる事象は、1Fで利用している際も同じだったことから、2Fの子機に原因があったとは考えていません。

HGWから小型ONU+YAMAHA ルータに変更

以前はフレッツのHGWをルーターとして使っていましたが、現在は小型ONUとYAMAHAのNVR510の構成に変更しました。

変更後の環境

これによるメリットは、NVR510からIPv6 IPoEとMAP-EによるIPv4接続、加えてIPv4 PPPoE接続を1台で完結させることができ、これまでMAP-EとPPPoE併用のために苦心の作として用意してきた二重ルーター構造を解消できたことです。(それだけのために投資するのは…逸般の方だけかも)

NTTのホームゲートウェイに表示される対象のSPI廃棄エラーが気持ち悪かったのも、NVR510に変更してからは解消できたので満足(自己満足)

余談ですが、ドコモ光で、HGWから小型ONUに変更するのに苦労したのは先人たちと同じです。

Pi-holeを導入しDNSベースの広告ブロック+SLAACの導入

Raspberry Pi 4上のUbuntu serverにPi-holeを導入し、DNSサーバーによる広告ブロックを実現しました。
また、DHCPサーバー(SLAAC)としても稼働させることでAndroidスマホに対してLAN内のDNSサーバーのIPv6アドレスを配信できるようになり、AndroidスマホでもIPv6通信を一気通貫で行えるようになりました。

壁内LAN配線がなくてもいい時代が来たかもしれない

Wi-Fiの速度向上で、有線LANがなくても十分問題なくなるとは思っていましたが、もはやこれだけ出ていれば自宅購入の際に失敗した負け惜しみではなく、本当にそういう時代が来ていると言っても過言ではないように思います。

が、くれぐれもこれから自宅購入される方は壁内のCD管/PF管配線は依頼しておきましょうね…(涙)

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